人貸し屋
大樹は静かに、その男の人の後ろに
隠れてしまった
「・・・・・・返せ」
「・・・・・・イヤ」
「・・・お前が瓶を返さなくても
大樹はもうこの世にはいなくなる」
男の人は冷静に、
冷たくそう言った
「大樹・・・いなくなるの?」
「・・・お前が瓶を返さなければ
そうなるかもしれないな」
大樹が帰ってしまうのは嫌だけど
大樹がいなくなってしまうのは
もっといやだ・・・!
「・・・この瓶、返します」
私はそっと、ピンクの瓶を返した
すると今まで怖い顔をしていた
男の人が小さく微笑んだ
「・・・確かに、受け取った」
また、少し怖い顔をして
大樹と帰っていく男の人
私はその後ろ姿をずっと見送った―。