人貸し屋



足を滑らせて

荷物もろとも落ちてしまった



「だから大丈夫ですかと

 聞いたんですけどね・・・」



「いててて・・・

 主様もここに置きすぎ・・・

 って、これなんですか?」



俺が落ちた時に一緒に落ちてきた

1枚の写真



そこにはまだ新しそうな

人貸し屋の屋敷と、主様と

黒猫の夜が映っていた



「あぁ、それはちょうど

 人貸し屋を始めたころの

 写真のようですね・・・懐かしい」



主様はその写真を見て

嬉しそうに目を細めた



「そういえば、人貸し屋の最初の

 お客様ってどんな人だったんですか?」



「あぁ、昼にはまだ話して

 いませんでしたっけ?」



「うん。あと、夜は

 いつからここにいたの?」



全部教えてもらって無いこと

教えてくれないわけではないけど

俺も聞かなかった


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