人貸し屋
「・・・行くところ、ないのですか?」
その手を掴み、
出ていくのを止める
「・・・・・・・・・それが?」
「ならば、ここにいなさい
不自由はさせませんよ」
ニッコリと微笑みながら言う
「・・・もう、人に飼われるのは
たくさんだから。遠慮する」
「でもアナタは、
私から人の姿を借りたのですよ?
その分のお代を払ってもらいます」
「・・・・・・・・・っ」
「私は飼うつもりありません。
ここで、掃除の手伝いなどを
してもらうと嬉しいのですが・・・
私の家族になりませんか?」
そう言って手を差し伸べる
男は少し驚いて私の手を見た
「・・・・・・・・・掃除だけで、いいのか?」
「そうですね・・・
買い物の、同行もお願いすることも
あるかもしれませんけど・・・」