人貸し屋
微笑んだまま、そういうと
男は私の手を握った
「・・・・・・よろしく」
「はい、よろしくお願いします。
ところで・・・私はアナタのことを
何と呼べばいいでしょうか?」
「えっ・・・?」
「クロと呼ばれるのを
嫌っているようなので・・・」
率直に思っていたことを言う
「・・・・・・何でもいい。
お前が、俺の名まえをつけろ」
「私がですか・・・
そうですねぇ、《夜》はどうです?」
「夜?」
「陰ながら朝を支え、
人々を暗闇の中でも照らし出す。
アナタにあう名前になるといいですね」
新しく夜と名前の付いた男は
その名前が気に入ったのか
少し照れくさそうにした
「・・・・・・俺が、夜」