人貸し屋



微笑んだまま、そういうと

男は私の手を握った



「・・・・・・よろしく」



「はい、よろしくお願いします。

 ところで・・・私はアナタのことを

 何と呼べばいいでしょうか?」



「えっ・・・?」



「クロと呼ばれるのを

 嫌っているようなので・・・」



率直に思っていたことを言う



「・・・・・・何でもいい。

 お前が、俺の名まえをつけろ」



「私がですか・・・

 そうですねぇ、《夜》はどうです?」



「夜?」



「陰ながら朝を支え、

 人々を暗闇の中でも照らし出す。

 アナタにあう名前になるといいですね」



新しく夜と名前の付いた男は

その名前が気に入ったのか

少し照れくさそうにした



「・・・・・・俺が、夜」



< 98 / 143 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop