執事の戯言
「ゆー!!」
「何ですか?璃愛お嬢様」
篠原璃愛(しのはらりあ)お嬢様。
旦那様の愛娘でありながら、わずか8つで次期当主にへと既に決まっているスーパー小学生。
まだ女の“お”にすらなってない愛らしい姿で、無邪気な笑顔と無垢な黒い瞳で俺だけを見ながら走ってくる。
中庭の掃き掃除をしなければいけないのに、お嬢様はお構い無しに抱きついてきた。
「ゆー!璃愛と遊ぼー!」
日向優(ひゅうがゆう)、それが俺の名前で、お嬢様は俺のことを名前で呼びたいらしいが、「ゆー!」と、自分なりに言いやすい呼び方で俺を呼んでくる。
でも、その呼び方が、自分の中でツボだったりして。
「璃愛お嬢様、私には今からしなければいけないことがありますので、後ほどお相手いたしましょう」