執事の戯言
はぁ、少しでも近づけるかと思ったが、まだその時じゃないみたいだ。
まぁ、焦らされるのも悪くない。
「お嬢様」
自分のこれからの役割を考え、気持ちを切り替えるためにも一歩引いて、優雅に頭を下げる。
「少し遅れましたが、ご入学おめでとうございます。私も、誠心誠意、お嬢様のお側で支えさせていただきますので、よろしくお願いいたします」
これからは、いちいち校内に忍び込まなくてもいいんだ。
最後の言葉に、お嬢様は「え?」と美しきお顔を歪ませた。