執事の戯言
あれやこれやと考え事をしていたら、扉が開く音が聞こえ、数秒後に一気に教室が煩くなった。
女子の黄色い声のせいで。
思わずびくりと体が跳ね上がり、我に返る。
何事かと教卓の方に視線を向け、目の前の人物に目を疑った。
「えっ!」
思いもよらぬ人物に声を上げて立ち上がってしまった。
いきなり立つものだから、どうしたのかとクラスメイト達の視線が集まる。
「どうかしましたか?」
全く私のことを知らないかのように、不思議そうな目をするその男に、私は俯きながら「いえ、すみません…」と返して座り直した。
男はまだ煩いクラスを見渡し、2・3回手を叩き、皆が落ち着いてきたことを確認して明るく声を発した。