矢刺さる先に花開く


――「流石は兄上!」


「何もせぬと見せかけて、三月の後に報復されるとは…」


六波羅の館では、皆が重盛を囲んで、嬉しそうに話していた。


少しばかり前、基房の輿が何者かに襲われ、従者たちが怪我を負ったという知らせが届いた。


当然重盛が命じたことだろうと、一門は重盛を褒め称えた。


「父上…ありがとうござりまする」


怪我もすっかり治った資盛も笑みを浮かべ、父に礼をした。


「怪我も治って良かったのう」


「誠に」


口々に言う重盛の弟たち。


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