矢刺さる先に花開く
――「義姉上様」
ある日、徳子が経子の居間を訪ねてきた。
「徳子殿?如何されました」
経子と徳子は仲が良く、こうしてどちらかが会いに行くのも時々あった。
「義姉上様に、お伺いしたい儀が…」
「あら、どうぞ。何でしょう?」
返事をすると、徳子は話を始めた。
「その…帝は、如何なる御方であらせられるのですか?」
(あら、左様なことね……まぁ、如何なる御方の元へ参るのか、気にならないはずがありませんね)
徳子がこのことを経子に尋ねたのは訳があった。