矢刺さる先に花開く


「実は…私は明日の戦が初陣でして。鍛練を怠ってきたわけではないのですが、恥ずかしながら少し不安で…」


「左様にござりましたか…。されど、鍛練を怠ったことはないのでござりましょう?ならばきっと大丈夫にございます。ご自分を信じて下さりませ」


経子の言ったことに驚いたのか、重盛は軽く目を見開いた。


「…そうですね。武家の嫡男が女の方に励まされるなど、情けのうござりますね」


「いえ!私こそ…」


顔に笑みを浮かべたまま、重盛は首を振った。


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