矢刺さる先に花開く


「今夜は月が美しゅうござりますね…。貴方のお陰で眠れそうです」


「滅相もござりませぬ。では、明日。御武運を御祈りしております…」


(……って、私ったら、妻でもないのにかようなこと…!)


「有り難き御言葉。では…」


当の重盛は気に留めてはいないようで、すぐに去ってしまった。


< 19 / 164 >

この作品をシェア

pagetop