矢刺さる先に花開く


成親が退室した後も、未だに経子は驚きを隠せずにいた。


(私が、私が重盛さまの妻に…)


「経子さま、おめでとうござりまする」


部屋の隅に控えていた女房たちが祝辞を述べた。


「…ええ」


そう言って微笑んだ経子は、どんな姫よりも幸せそうだったという。


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