矢刺さる先に花開く


軽く目を見開く時子。


「……経子殿。私が申すのもなんなのですが、重太を育ててやってはくれまいか」


「…重太?」


「あら、失礼致しました。重盛の子の名です」


(重、太。そんな名が……いえ、それより、何故御義母上さまはかようなことを仰せになるのか…)


多少苛立ちながらも、経子は時子の話に耳を傾けた。


「私が殿の元へ参ったときには、既に重盛と基盛は生まれておりました」


「!…で、では我が殿と基盛さまは御義母上さまのお子では…」


頷く時子。


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