矢刺さる先に花開く
――その夜、重盛と経子は久しぶりに夜を共にした。
「経子…誠に、すまなんだ……!」
「殿。謝らないで下さりませ」
必死な重盛に経子がかけた言葉は優しかった。
「私は今まで、自分の思いばかりで。殿の御気持ちを考えておりませなんだ。…ただ」
「……ただ?」
「幼子が、かように可愛らしいものだとは思ってもみませんでした。重太が、今は愛しゅうて……だから、謝らないで下さりませ。私は、重太の母にございます」
「経子…!」
経子を抱き寄せる重盛。
「殿…」
「経子…すまぬ…」
経子はそのまま、褥に優しく押し倒された。