矢刺さる先に花開く
「きっと帰る故。そなたを置いては死にとうない…」
経子の白い頬を撫でながら優しく語りかける重盛。
「殿…」
その白い頬が赤くなってきたとき。
「ほぉ〜、兄上もやりまするな」
「基盛!?」
「見ておったか、そなたたち?」
「はいっ」
重盛の弟、基盛は他の弟たちを引き連れて盗み見ていたのだ。
「基盛…そなた……」
「おお怖。兄上がお怒りになる前に逃げるとしようぞ」
「あ…っ、基盛!!」
走り去る弟たちを呼ぶが、既に逃げられていた。