矢刺さる先に花開く
大きく溜め息をつく重盛。
「あの…殿」
夫の顔を覗き込んだ経子は言葉を止めた。
(か、可愛い……)
普段は冷静沈着な重盛が、真っ赤な顔でそっぽを向くものだから、経子はときめかずにはいられなかった。
「殿?お顔が赤うござります」
「……黙っておれ」
からかう経子に更に赤面する重盛。
それを見て微笑んだ経子は夫の背に寄りかかった。
普段は大人しく、こんなことをしない経子に重盛は少し動揺しながらも、幸せそうな笑みを浮かべていた。
――次の瞬間。