矢刺さる先に花開く
「重盛。そなたは悪源太の待賢門を行け」
「承知つかまつりました」
(鎌倉悪源太義平…義朝殿の長男であるという。その強さ、どれほどまでのものか……)
――父上に命じられた、待賢門まで参った。
「者ども!年号は平治、花の都は平安城、我等は平氏なり。平の字が三つ揃い、此度の戦で朝敵を平らげられぬことがあろうか!」
待賢門は守りが固く、暫くの間士気が落ちぬように声をかけておったが……今、それが開かれた。
すると、前(さき)に中へ入った武者たちが倒れていく。