矢刺さる先に花開く
暫しの沈黙。
「………っうぁぁぁぁーーっ!!」
どちらからとも言えぬ叫び声を上げ、太刀がぶつかり合う音。
己にかかる重さが思ったよりも強く、手に痛みが走る。
(これが…っ、悪源太の……)
だが、断じて力は抜かない。
(こんな所で死ぬわけにはいかぬ…!)
あどけなく笑う重太。
可愛らしく泣き声を上げる重次。
そして…己の腹を撫でる経子の姿を思い出した瞬間私は、己のものとは思えぬ力で悪源太を跳ね返していた。