矢刺さる先に花開く
経子の腹も大きくなり、いつ生まれるやもわからないぐらいになっていた。
重太は、不思議そうに経子の腹を見遣る。
「そなたの弟がいるのですよ」
微笑んで言うと、重太は喜び、経子の腹を撫でる。
そんな毎日が続いていたのだが……。
――「……っ」
真夜中。眠っていた経子は激しい痛みに教われ、目を覚ました。
(お、お腹…?まさか)
「和泉…!和泉…」
「ここに。……わかりました」
和泉は小さな子供がいるだけあって、経子の様子を一目見ただけで事態がわかってしまった。
「と、殿には…」
「もう使いをお出し致しましたよ」
和泉の素早い指示により、布団から着物まで、部屋のものを白いものに取り替え、すぐ初産に入った。