アメアガリ
あたしは結局、
上崎から借りた傘を閉じた。
どうしてもこの黒い傘はさせない。
怖い、
あたしの中で、拒否してる。
この黒い傘を……
濡れたまま家に着き、
シャワーを浴びて、
いつも通りの家での生活。
明日は……晴れるかな…。
あたしは深い眠りに落ちた。
『今日のお天気は、1日中曇り空が……』
あたしとしては珍しい、
天気予報を知らせる番組を見ている。
曇りなら、傘…いらないかな。
「傘、持って行かないと」
あたしはいらなくても、
あの黒い傘は、持って行かないと。
「いってきます」
お母さんの声。
いってらっしゃい、と聞こえた。
「ほんと、曇りだ………」
あたしはつぶやき、
いつも通りの通学路を歩き始めた。