アメアガリ



「……見せて、ください」


上崎は?と浮かべる。


「教科書忘れたの」

「あぁ~。めずらしいな、大平が」

「……ごめん」


いいって、と軽く笑いかける上崎。


「見えるか?」


机をつけて、その境界線に教科書を置く。


「うん、ありがとう」


そんなで、授業が始まった。


………上崎が何か書いている。

23ページの端に、……何だろう。

覗きこんでみてみると、


<大平って、何中?>


と記されていた。

あたし宛のメッセージ。

返事をしないわけにもいかなく、


<第一。>


24ページの端に書く。


<第一か、俺は吉田。
 第一って遠くない?>

<遠いからこっちにした>


遠いから、

あの土地から離れたかったんだ。


そうでもしないと、

あたしはコースケを忘れられないから。




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