アメアガリ
上崎はあたしに気を遣ったのか、
<大平って写真部?>
と書いてくれた。
<うん>
<俺、野球部なんだ>
知ってる、それぐらい。
いつも重そうなエナメルバックを抱えてる。
隣の席なんだから知ってるって。
<上崎って誕生日いつ?>
あたしは話題を変える。
上崎は意味がわからないように、あたしの文面を読んでいる。
そして何かを読み取ったように、
<6月21日、大平は?>
<5月15日>
上崎の誕生日は意外だった。
梅雨生まれなんだ……
梅雨を感じない、明るい人なのに。
この後は特に話題がなくなったのか、
上崎は何も書かなくなった。
そしてそのまま、授業は終わった。