アメアガリ



古典の授業は終わる。

終わる直前に、あたしの書いた言葉を全部消した。

残しておくと悪いと思ったからだ。

上崎は何も消さずに、

そのまま残しているみたいだけど。



___放課後。


あたしは、写真部の部室に向かう。


「こんにちわ」


ドアを開けると同時に挨拶をする。


「おぉ、大平じゃん、お疲れー」

「お疲れ様です」


1つ上の先輩、


【下月 優太(しもつき ゆうた)】


成績優秀、顔もそこそこ整ってる、

スポーツは……よくわからない。

そして、この彼こそが、

アイカと初カレでもある。


「大平、今日は野球部行くぞ」

「だから…いつも言ってるじゃないですか。
 行きたくありません」

「なんでだよー」


先輩の言葉を無視し、あたしは部室の扉を開ける。


「お、行く気になったのか?」

「サッカー部、行ってきます」


サッカー部、を強調して、

あたしはバタンっと扉を閉めた。





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