-spirit-スピリット-愛しい君へ-
「ね、姉さん苦しいっ・・・」

「アア!!ごめん!大丈夫!?」


姉さんは私をあわてて解放した。
相変わらず力が強い。


「ゲホッ、ゲホッ、、、、大丈夫。」


あまりに強く抱きしめるものだから、ついつい咳が出てしまう。


「ほんとに!?咳でてるけど、まさか喘息がひどくなってるとかっ」

「いや、本当に大丈夫だから。」

「じゃ、じゃあなんでそんなに咳が出て・・・」

「それは姉さんが強く抱きしめたからだ!!」

「え、あ、そうだった!ごめんねえええええっ!」


また抱き付こうとする姉さんを


「ストップ!」


と言って静止させた。

姉さんは少し不満そうにしてるけど、これ以上抱き付かれたら、きっと冗談じゃなく私は気を失うだろう。

このように姉は、私と違い陽気で明るい性格で、可愛い人だから友達も多い。

《私とは、まったく正反対の、私の憧れの人。≫

――――
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「はい、レモンティーをどうぞっ!お姫様?」

そう言って向かいの椅子に座っている私にレモンティーを渡してくる姉。

それを受け取る。

「ありがとう、というか、そのお姫様というの、やめないのか?」

自分も椅子に座ろうとしてる姉に聞いてみると姉は首をかしげて

「どうして?」

と聞く。

それに私は困ったような顔をして答える。

「私は、姫というキャラではないと思うからな」

「え~。愛歌はお姫様だよ~。それも、この世界に一番ふさわしいお姫様。」

姉は、頬を一瞬だけ膨らませてそんなことを言う。

昔から姉は私の事を”お姫様”と呼ぶ。

それが、なぜなのかいまだにわからないが、この年で、しかもこんな性格の私をお姫様と呼ぶのだから姉も少し、変り者なのかもしれない

そう思いながら、レモンティーを一口、口に含める程度に飲んでみる。

それから何か納得したような顔をする。

うむ、相変わらず姉さんのレモンティーはおいしいな。


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