-spirit-スピリット-愛しい君へ-
「ところで、今日はどうしたの?」

しばらくたった後、姉が私にたずねてきた。

「いや、少し聞きたいことがあって」

「おお!愛歌がわたしに質問とは珍しいこともあるのですなぁ」

少し口調を変えてそう言う姉にあきれた顔で苦笑する愛歌。

そんな愛歌を見て姉も一緒に笑う。

「それで質問だが、」

「おっとっ!ストップ!」

「え?」

愛歌が質問しようと話し出したのを手を前に突き出し遮る姉。

姉のいきなりの行動に愛歌は戸惑う。

「その質問私があてよう!」

「あ、あぁ、」

愛歌は姉の勢いに負け、返事をしてしまう。

「そなたがしたい質問は、あれだろう?なぜ自分の義理の兄が担任になっているかだろう?」

「あぁ、正解、です」

ものすごい剣幕でそう聞いてくる姉になぜか少し敬語をつかってしまう愛歌であった。

「というか、さっきから口調が変だぞ!姉さん!」

「いや、すまない、つい感情移入してしまったっ」

そう言って苦渋な顔で右手を自分のおでこに添える姉。

感情移入!?いったい今何に感情移入をしたんだ!!ねえさんはっ!!

私はついつい心の中で突っ込んでしまった。

そんな愛歌をみて姉は笑う。

「クスクスッ、冗談よ。ところで誠さんのことなんだけどね、、、」

姉の言葉を聞き愛歌は少し安心してしまった。

「誠さんが、愛歌の担任になったのは、愛歌の霊力が、ここ最近異常なほどに高まってきているから、愛歌を妖怪たちから守るためなのよ、ほら、最近愛歌の周りの妖達が活発になってきているうえに、増えてきているじゃない?」

姉の話を聞き、最近の妖怪達の様子を思い出し、確かにそうだ、と思う。

でも自分の霊力があがった自覚なんてない。

それに、

「そこまで、しなくとも私は、姉さんみたいに霊や妖に襲われたことはないから大丈夫だ
・・・。」

私はうつむきながらそう答えた。

姉さんはもともと襲われやすい体質なのか、よく妖や霊に襲われていた。

そんなとき、姉さんをまもるのはいつも陰陽師の誠兄だった。

誠兄は、神月という陰陽師家の長(オサ)、神月仁の息子として産まれた。

神月家は、日本有数の陰陽師家の中でも、もっともすぐれていて、いろいろな分野での天才が多く生まれる家、だそうだ。

私も話を聞いただけなので、よくわからない。

そして、その話の中でも最も現実味のないものは、なんとその神月家の総資産額は、兆という額を超えて、京という額までいっているらしい。



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