-spirit-スピリット-愛しい君へ-
入学式が終わったら、30分間の記念撮影の時間がある。

みんな家族や友達と写真を撮りに一度校舎を出る。

でも、私は外に出らずにそのまま教室に向かった。

階段をのぼって二階の1-Aと書かれた教室を

目指して廊下をまっすぐ歩いていると急に目の前に

灰色の壁が現れた。

こいつの正体は知っている。

ぬり壁だ。

いつもはおとなしいのだが、

時々こうして私の行く道を邪魔することがある。

他の人は普通にすり抜けるのだが、

私がすり抜けようとして一歩前に進むと

ぬり壁も一歩前に進むという感じだ。

つまり、今私は目の前が見えない状態で歩いているようなものだ。

真ん中を歩くと人にぶつかる可能性があるので、

しかたなく右側の壁にそって歩くことにする。

でもそのかいもむなしく、私は人にぶつかってしまった.

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