-spirit-スピリット-愛しい君へ-
「君、そろそろやめないか?」

「いや」

「わがままをいうな!」

撫でるのをやめるよう、言うも彼の返事はずっとNo!だ。

「いったいいつまでするきだ?」

「だから俺が満足するまでだよ」

「だ・か・らいつになったら満足するんだ!?」

彼のしつこさに少しイライラしてきた。

「じゃあ、俺の事名前で呼んでくれたら満足する」

名前?なんだそんな簡単な事でいいのか。

それなら最初から言ってくれればいいものを・・・

「大翔」

「・・・。」

ん?なぜ黙り込む?

私は、ちゃんといったぞ?

数泊沈黙が流れてから彼は無言でまた頭をなではじめた。

「ちょ!?なんなんだ!ちゃんと名前でよんだろうが!」

「うーん、なんか愛歌ちゃんが簡単に言っちゃうからつまんないな~」

「は!?」

「よし!今度は俺の目を見て言って?」

「は!?」

確かにさっきは頭をなでられていたからうつむいた状態で言ったが、

うつむいて言うのと
目を見て言うのとでは、どう違いがあるんだ?

「ほら、言ってみてよ」

そう言って彼は両手で私の頬を包み込み、目線を合わせてきた。

どうやら私が彼の名前を言うまでこの手を離さないらしい。

「これで本当に最後だからな?」

そう聞くと彼は

「うん!」

と満面の笑顔で言ってきた。

その笑顔にドキッとする自分がいる。

「じ、じゃあ言うぞ?」

「うん」

「・・・。」

「・・・。」

ドックン、ドックン、ドックン、ドックン、

ん?なんなんだ?この沈黙と胸のたかなりは!?

「ん?どうしたの?愛歌ちゃん?」

満面の笑みで大翔が聞いてくる。

が、言えない・・・・。

何ども言おうとするも、口が動かない!

というか、彼に見つめられると、調子が狂う。

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