瑛先生とわたし


玄関が開いて 渉が帰ってきた

菜々子先生の息子の耕太と 妹の結衣ちゃんも一緒だ

ここにママがいるから 三人で待ち合わせて帰ってきたみたい

渉と耕太は二階の渉の部屋に行ったけど 結衣ちゃんはリビングに残った

私をおそるおそる触ってくる 

大丈夫よ というように チリン と鈴を鳴らしたら 「カワイイ~」 って

言ってくれた

結衣ちゃん アナタも可愛いわ 私のお気に入りに入れてあげる


そのあと 華音さんの息子の中学生の一樹も来て 

それから龍之介さんとバロンもやってきた

パーティーの打ち合わせなのに こんなに大勢集まって 

なんだかすごいことになってきたわね


また 玄関の呼び鈴が鳴った 今度は誰?

林さんが あらっ とモニターを見て言って 玄関に迎えに行った

一緒に現れたのは深澤さんだった

まずい 私 隠れなきゃ!

あーぁ こんなに賑やかなのに 猫アレルギーの深澤さんのお陰で 

私はあの部屋にはいられない

しょんぼりしながら部屋を出ようとしたら ひょいと抱き上げられた

あっ 瑛先生 お仕事すんだの?



「マーヤ ここにいていいよ 離れてれば大丈夫じゃないかな」


”いいの? でも深澤さんが……”


「添削する書を持ってきただけだから すぐにすむよ」


”うん わかった”



って先生は言ったのに 華音さんと菜々子さんが深澤さんを引き止めたの



「来週の土曜日なんだけど ここでパーティーを開くの 

深澤さん いらっしゃいませんか? 

深澤さんは瑛の大事な生徒さんだもの ぜひアナタも参加していただきたいわ」


「えっ? あっ はい 参加させてください」


「でね お手伝いもしていただけると助かるんだけど 大人数になりそうなの 

アナタのようにお仕事をきちんとこなす方が欲しいのよねぇ どうかしら」


「わかりました よろしくお願いします」



なにがなんだかわからないって顔をしていた深澤さんも 華音さんの勢いに

おされたのか 参加しますって返事をした

そんな深澤さんに 菜々子先生が笑いながらパーティーの説明をしている

この家に集まる人々で毎年行っていること

会費はあるけどほんの少し あとは瑛の持ち出しだから安心して って

これは華音さんが言った

それぞれがプレゼントを用意してくること 

「瑛君には 特別にワインでも持ってきていいのよ」 って菜々子先生が

冗談を言ったら 深澤さん 「はい」 って嬉しそうに返事をしたのに 



「クリスマスには少し早い時期ですね 忘年会には早すぎるし 

何かのお祝いですか?」


「そうね お祝いね……瑛君の奥さんの誕生日なのよ 

いつ頃からか こうやってみんなで集まって楽しく過ごすようになったの」



菜々子先生の言葉に そうですか……って 深澤さん 寂しそうな顔をしたの

深澤さん 瑛先生のこと好きなのに こんなこと聞いたら複雑よね




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