【短編】恋人は未来人
でも何で会社をクビになったんだろう?
絶対におかしい!
沖不動産は、真衣の家から電車で約一時間の港区にあった。
「あのーすみません。中川真衣のこと知りませんか?十年前に、ここに勤めていたんです。何でもいいですから教えて下さい」
「真衣?知らないなぁ」
「あなた、毎日いるけど、私たち十年前のことなんか覚えてないわよ」
「ちょっと、じゃまだからどいて」
社員の反応は、予想以上に冷たかった。