新撰組は恋の香り―後編―
ホントに弱いんだ。
チラッと聞いたことはあったけど。
「葵羽さん、この人違う部屋に置いといてくれないですか?酔い覚めるようなとこに。」
沖田さんがにこっと黒い笑顔をみせた。
おお、こわっ。
「えっと、ちょっと待ってくださいね。あのー!」
襖を少しあけ女中さんを呼び
女中さんに涼しい部屋にと、お願いした。
ふうー、と息をつく。
原田さんがご飯をつつきながら
「それにしても1日もしないうちに板に付いてきたな。」
と、言った。
そりゃ、必死でしたもん。
なんて私っぽい感じしないからなにも言わずにえへへと誤魔化した。
「つかさぁ、葵にこんなの押しつけんのやっぱり違うと俺思うんだけど。葵、新選組じゃねぇし。」
悲しげな表情をしながら
平助くんがつぶやく。
「平助?それは違うと俺は思うが。葵羽は新選組だ。」
エスパー斎藤がお酒を飲みつつ言った。
「は?一君、俺は葵を新選組に入れたつもりないんだけど。」
「斉藤、俺も葵羽は新選組にいるけど隊士と同じ扱いしたくねぇし、新選組だとは思ってねぇぜ?」
「左之と平助の言い分はわかるけと、俺は‥…」
「…て…やめてくたさい。」
なんか、聞くに耐えられなくて
叫んでしまった。