死にたがりの魔法使いくんと死神ちゃん Ⅱ
路地裏から大通りへと戻ってきた私は、宛もなくふらふらと歩き続けていた。
おばあさんの言っていた、昔の魔法使いとは一体………。
ぼんやりと魔法使いのことを考えてしまっていたからか、いつの間にか私は城下町へと来てしまっていた。
間近に城が見える。
そういえば、あの魔界の事件以来、キングにも会っていないな。
まぁ、元々気軽に会えるような人物でもないけど。
ルルも、元気にしてるだろうか。
いつだったか、キングが言っていたことを思い出す。
『…彼は、と ても冷酷なヤツなんだよ』
『冷酷…?まさか。信じられないわ』
『はは。君が見ている彼はそうだろうね。本来 の彼は、世界を一つ滅ぼしかねない存在なんだ よ』
私は自分が知っている魔法使いのことしか知らない。
もちろん、それでいいと思っている。
アイツの過去がどうだろうと、アイツはアイツでしかない。
年中、殺してくれー!と追いかけましてくる、ちょっとウザい奴。始めの頃はそんな風にしか思ってなかった。
ウザかったはずなのに、この数日魔法使いに会っていないだけで少し寂しいと思ってしまう日がくるなんて…。
城を眺めながら、立ち止まっていたら、ドンッと衝撃が体に走った。
「すみません…っ!」
どうやら、人とぶつかってしまったようだ。
「いえ、こちらこそボーッとしてしまっていたので…って、リタさん!?」
ぶつかった相手はリタさんだった。
「リタさん、良かった!体が元に戻ったんですね…」
「死神さん!リーダを…リーダを見ませんでしたかっ!?」
必死の形相で、息も乱れた様子のリタさん。
顔色もどこか青白い。
「リーダがどうかしたんですか?」
リタさんを落ち着かせようと、肩に手を置き、ゆっくり問いかける。
「リーダが…っ、いなくなってしまったんです!」