死にたがりの魔法使いくんと死神ちゃん Ⅱ



城の裏側の外、担架で運ばれて行くリーダの姿を見付け、駆け付けようと、城に近寄った時…

ドーンと突然城の西側の塔から爆発音と共に、煙が上がった。


「な、なんなの!?」


西側の塔から、たくさんの使用人や兵士が城の外へ溢れ出てくる。

よく見ると、城の正面の門が全開だ。そこにたくさんの人……いえ、エルフや精霊。それに子供だと思ったら、あれは小人のドワーフだわ。
何故、魔力を持つ者ばかりが城に集まってるのかしら…。


「それよりも、リーダだわ!」


考えるのを中断し、私はリーダの元へ飛んでいく。




リーダのことを運んでる兵士2人の他に、寄り添うように1人のメイドさんがいることに気付く。
あの子は確か、私とルルが城にいる間、よく顔を見合わせた子だ。


「何があったの!?」

「!!…あ、あなたは…っ!」


地面に降りた私は、急いでそのメイドさんに話し掛ける。驚いた様子だったが、どうやらすぐに私だと分かってくれたらしい。


「わ、わたくしにも何がなんだか…」

おどおどとメイドさんも、なんだか混乱しているようだ。



「リーダ!!リーダ!!!」


担架の上でぐったりとしているリーダに呼び掛けるが、まったく反応がない。


そうこうしているうちに、城の裏側にある林の中まで入って来た。


ようやく立ち止まった場所は、城から離れた、林の中の少し拓けた場所。
そこには、白い簡易テントがいくつも建てられていた。
たくさんのベッドが並べられ、その上には既に何人かが寝かされていた。

リーダもそのうちの1つに運ばれる。
リーダを寝かせた後、兵士たちはすぐに立ち去って行った。また次の人を運ぶためのようだ。

残された私とメイドさんは、近くにあった椅子に座り、少し落ち着いてきた彼女から話を聞く。



「一体、何があったの?」

「……あのエルフの女の子が、クラフ様を訪ねて来たのが始まりでした」


一瞬、クラフって誰だ…と思ったが、魔法使いの名前がエリスト=ウィッチ=クラフだったのを思い出す。
聞き馴染みのないアイツのラストネームに違和感を感じるが、口を挟まず話を聞くことに専念する。



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