死にたがりの魔法使いくんと死神ちゃん Ⅱ
Ⅱ.天界と死神ちゃん
『死神さん、僕は………』
悲しそうな表情で何かを伝えようとする魔法使い。
アイツのこんな顔、初めて見た。
私は、魔法使いのことを何も知らない…。
「エリスト!!」
ハッと目が覚め、飛び起きる。
辺りは真っ白な空間で、あちこちに透明なカプセルのようなものが綺麗に並べられている。
かくいう私も、どうやらそのカプセルの1つに寝かされていたようだ。
ここは………。
確か魔法使いと城に居たはずなのに…。
「あ。ユリア=デス=ノーベ、目が覚めたのですね」
何が起きたのかまだ働かない頭で、必死に考えていた時、横から声が掛けられる。
そこには優しげな眼差しの全身真っ黒な装束に身を包んだ人物がいた。
「あなたは…!!」
「どこか異常はありませんか?突然の強制帰還で驚いたことでしょう」
「死神の長……。ということは、ここは天界ですか?」
「はい、そうですよ。おかえりなさい」
笑顔で受け答えしつつ、どこか人を寄せ付けないオーラを放つ、この方は、私たち死神の職業を管理している者――死神の長(おさ)と呼ばれている人物。
私の故郷である、ここ天界には、下界でいう神様と呼ばれている人物である天界の長と、天に仕える者である天使たち、それに準ずる天界の聖獣たちがいる。
そして、そんな中に私たち死神が存在する。
天界の中でも、死神とはやはりどこか異端で、別組織と言っても過言ではない。
そんな死神組織のトップに立っているのが、死神の長。
私の上司にあたる。