死にたがりの魔法使いくんと死神ちゃん Ⅱ
「……で!こんなことが先日あったのよ!??ムキーーーッ!今でも腹立つわ!タダ飯食らいじゃない!」
「ふぅ~ん。本当に死神ちゃんと魔法使いくんって仲が良いよね!」
先日の魔法使いとのやり取りをリーダに話していたら、楽しそうにそんなことを言うものだから、間髪容れずにどこが!?と大きな声で言ってしまった。
リーダが耳を塞いでいるのが視界に入った。
「…ちょっとリーダ、予め耳を塞ぐ位だったら、言わなければいいでしょ?」
「え~?聞こえないよ~?」
ふふふ、と面白そうに言うリーダにもう何も言えなかった。この子、わざとだわ。
私にと用意されたリーダとリタさん家の特製パンを頂く。ふわりとした食感と小麦粉本来の甘さが口のなかに広がる。
うん、相変わらず美味しい。
私は時々、夜になるまでの暇な時間にこうしてリーダやリタさん家でお喋りをしに来ることがあり、必ず2人はパンとお茶をご馳走してくれる。
「あれ?そういえば、今日リタさんはいないの?」
ふと、今日はまだリタさんに会っていないことに気付く。
きょろきょろと辺りを見回すが、店内のどこにもリタさんはいなかった。お家の方にいるのかしら?と思っていたのだが、リーダの方を見てみると眉尻を下げ、困った表情をしていた。
「リーダ?どうしたの?」
「………」
なかなか返事のないリーダだったが、私がじっと待っていると、徐に口を開いた。
「あのね、実はお姉ちゃん今……」
「それ以降はわたくしが説明します」
どこからかリタさんの声が聞こえてくる。
でも、姿がどこにも見えなくて、視線をあちこちにさ迷わせる。
「死神さん、こちらです」
「え!?」
やっと見付けたリタさんの姿は、とても小さかった。
小さいリタさんは、私とリーダが座っているテーブル席の上にちょこんと立っていた。
「こんにちは、死神さん」
「え?リリリリタさん!!??」
律儀にペコリとお辞儀をするリタさん。小さくともリタさんはリタさんだなぁ、と思った。
そんなリタさんをマジマジと見てしまう。
リーダに淹れてもらったお茶の入ったティーカップより背が小さく、尖った耳がいつも以上に目立っていた。
何より、普段は服などでかくしている羽が背中からピョンッと飛び出している。