死にたがりの魔法使いくんと死神ちゃん Ⅱ
「こんなお姿ですみません」
申し訳なさそうにリタさんは、シュンとした顔で言う。
「いやいや!リタさんが謝ることじゃないよ!本来だったら、そっちの姿が本当でしょう?」
リタさんとリーダは、エルフという種族だ。普段は下界の人間と同じ大きさを保って生活をしているけど、この世界のエルフは本来小さな体をしている。
「でも、リタさんもリーダも、そっちの姿になったこと今までなかったよね?」
少なくとも私が2人に出会ってから、小さい姿は見たことがない。
「ええ、そうなのですが…わたくしにも何がなんだか…」
「実はお姉ちゃん、数日前から大きい姿になれなくなっちゃったんだって」
「え?どういうこと?」
2人の話によると、数日前に突然リタさんの体が元の小さい体に戻ってしまい、それから大きい姿になれなくなってしまったそうなのだ。
「原因は?」
「体調の悪い時など、魔力の低下が原因で大きい姿になれなくなってしまうということがあるにはあるのですが………今は特に何ともないんです…。本当に急に…」
「この数年間、わたしたち体調崩したことなんてないしねー」
「そうなの…」
「それでね。昨日、エルフ専門のお医者さんの所へお姉ちゃんを連れて行ったの。そしたら、魔力の波動がどうたらこうたらって!」
リーダの説明には肝心な所が何も伝わってこなかった。その、どうたらこうたらって部分が重要なのだけど…。
リタさんが、苦笑いをしながら付け足してくれた。
最近、この下界に原因不明の魔力の波動が流れ、下界に暮らしている魔力を持った人達に様々な影響を及ぼしているそうなのだ。
その魔力が一体どこから流れてきているのか、それは今現在も調査中だそう。
「それで、この辺で有名なあの占い師のお婆ちゃんもすっかり、占い結果が外れっぱなしみたいだよ!」
「え!あの百発百中の結果を叩き出すって有名なあの人が!?」
「あの方は、魔女の末裔の方ですからね」
魔女の末裔って話、あのお婆さんのデマじゃなかったんだ…。
「そっか、色んな所で影響が出てるのね…。何か困ったことがあったら言ってね。手伝えることだったら、手伝うから」
「ありがとう、死神ちゃん」
「ありがとうございます、死神さん」