死にたがりの魔法使いくんと死神ちゃん Ⅱ
夜になり、私は自分の仕事を全うするために、リーダとリタさんの家を後にした。
帰り際に、リタさんが死神さんにも何か影響があるかもしれませんから、気を付けて下さいね、と心配してくれた。
そんなリタさんにお礼を言い、私は大丈夫だと告げ、濃紺の空へと飛び出した。
浮遊しながら、懐から分厚い本―死神リストを取り出し、本日のリストの確認をする。
紙の上に書き出された名前をスルスルと指でなぞる。
それにしても、リタさん。今までずっと大きい姿で生活していたから、きっと小さいままだと不便なことも多いだろうな…。
相変わらずリーダは元気だったけど。
死神は、別に魔力を持っている訳ではないから恐らくその魔力の波動云々で影響はないはず。
そんなことを考えていたら、ふと魔法使いのことが頭を過った。
アイツは、大丈夫なんだろうか…。
数日前にウチに来た時は普通だったけど。いやむしろいつも以上に図々しかった。
ウチはご飯屋じゃないっての!!
まぁ、そのうち私の元に嫌でも現れるだろう。殺してくれー!ってね。
さて、今は仕事仕事!
自分の相棒でもある死神の鎌―オルカを呼び出し、本日の1人目のリスト者の元へと急ぐ。
どうか安らかに。
今日もそんな祈りを込めながら、鎌を振るう。
気のせいだろうか、オルカがいつも以上に扱いづらかった。
元々気分屋な鎌だったので、この時は特に気に留めなかった。オルカだし――そう思ってその日は4人のリスト者の魂を斬った。