やさぐれ女の純情
第1章 やさぐれ女
1.愛すべき宇宙人
雨が止んだばかりの十一月半ばの夜。
一本残らずイルミネートされた大通りの街路樹が、月のない闇を遠ざけている。
上から降り注ぐ夥しい量の光が濡れた路面に乱反射し、
人々の目に景色を滲ませて映した。
都会の冬は滑稽だ。
毎年、飽きもせずにこうもド派手な演出をされては
静かな夜も聖なる夜もどこにあるというのか。
まるで、よりにもよってこの時期に連れている男の腕に絡みつき
自己顕示欲を満たそうとする女と一緒だ。
飾り過ぎて、本来の良さが薄れてしまっている。
はぎ取られてしまえば、
ギャップが大きいほど相手を落胆させてしまうというのに。
自分の化粧ポーチの中には
常に〈目力五倍マスカラ〉が入っていることを棚に上げ、
〝そのことに気付いていないのなら、ただのおバカな女の子。
気付いていても、飾らずにいられないのなら――哀れな女よね〟