クリスマス&お正月
ツリーの先は空からの雪ではっきりとは見えない

けれど想像していた通り、

こうやって誰か大切な人と見上げるツリーは特別だった

二年前まだ少し距離のあった自分たちの間は、

今はつないだ手の分だけしかない

そのことが、ただそれだけのことがうれしい

「じゃあ、待ってるよ」

しるふの言葉にどこまでも透き通るような漆黒の瞳が見下ろしてくる

「ちゃんと、そばで待ってる。海斗が私を貰ってくれる日を」

その一歩を踏み出すのが怖くても

海斗とならきっと踏み出せる

ふと小さく微笑んだ海斗の瞳には、変わらず優しい光がある

こうしてずっと同じものを見ていたいと思うから

もたらされる安らぎを何倍にもして返したいと思うから

ずっとずっと温かなこの想いを抱いて行きたいと思うから

だから、この手だけは離さない



< 20 / 76 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop