クリスマス&お正月
だからそろそろ行動を起こすべきだろう、と思いながらふと隣に視線を移すと

「……?」

しるふがいない

あのばかどこ行った

立ち止まって人ごみの中を見渡すと、ああ、いた

何メートルか後方にわたわたと人にのまれているしるふがいた

寒いからとつないでいた手を離した自分がばかだった

ふ、と息をつきながら行きかう人の間を縫うように進む

「…いい加減人ごみ位突破できるようになれよ」

呆れ交じりにしるふの手を握って引き寄せながらいうと、

「仕方ないじゃない。一度足を止めるとなかなか進めないのよ」

安心しつつもきちんと抗議を返された

本当にかわいげのない性格だ

「それが分かっててどうして立ち止まるんだ?」

人をよけながら進む海斗の隣で、出来るだけ身を寄せて邪魔にならないようにするしるふ

「だって、他の人がどう動くかなんて予想できないじゃない」

右かな左かな、なんて考えながらいると大体自分が一歩足を止める羽目になる



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