クリスマス&お正月
「ねえ、海斗」

背後で

「せっかく亜紀に黙っててやったのに」「どうせ回答義務のある自分を守るためだろう」

「そうともいう」「そうとしか言わん」

などと言い合っている弘毅と海斗にしるふが振り返る

「大判焼き、食べたいな」

海斗の視線がしっかりとしるふを捕えてから、しるふはにっこりと微笑む

「自分で買えば」

「新年明けまして、彼女に何か驕ってあげようかなって思わない?」

「思わない」

もう、ホント有り得ない

むっとふくれながら海斗の前まで行くと、ん、と手を差し出す

その掌に海斗の財布が乗るのは次の瞬間だ

「可奈ちゃんも大判焼き食べる?」

あえて海斗のおごりなんて口にしない

してやらない
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