恋……シヨ?‐武藤 雅晴編‐
待たせたままの夕陽には本当に申し訳なかったけど、メールで事情を告げたらすぐにわかってくれた。
武藤くんが今日どこにいるかはわからないけど、とりあえず思い当たる場所を探してみる。
塾、図書館、あとは……
最後に来たのはやっぱり八百屋の武藤。
息を切らしながらお店に駆け込むと、段ボールを抱えたお兄さんが私を見て目を丸くする。
「なんだ、そんなに急いで。
…あぁ、この間はドーナツありがとな。うまかっ…」
「あのっ!…雅晴くんいますか!?」
お兄さんの言葉を遮ってしまったけど、今は不思議と怖いとも思わなかった。
私の勢いにキョトンとしたお兄さんは、首を傾げながらも店の奥に歩いていく。
そして、しばらくすると武藤くんの声が聞こえてきた。