恋……シヨ?‐武藤 雅晴編‐
こっちにしよう!
私はあからさまに“好きです!”と主張しているようなハート柄の箱を選んだ。
蓋を開けてみると、中に入っていたのは懐かしい指輪型のポップキャンディー。
「え……コレ?ですか?」
「残念。それはハズレ」
「ハズレっ!?」
「それを選んだってことは、まだ俺にもチャンスがあるってことかもな…」
不意に世良先生は椅子から腰を上げ、私を覆うようにしてデスクに片手をつく。
私は先生のいつになく真剣な瞳から目を逸らせずに身体を強張らせた。
「それは仮の指輪だ。お前の左手薬指は俺が予約しとく」
「え……っ!?」
「卒業したら、俺と一緒にならないか?」
本気だぞ、と耳元で囁かれる甘い低音に私の心臓は大きく跳ねる。
一気に先生に塗り替えられる心のキャンバス。
先生の唇が近付くのを感じながら、私はキャンディーを握りしめた──。
*気怠いチャラ男の保健医と恋しよう☆
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