恋……シヨ?‐武藤 雅晴編‐
うーん、こっちかな?
私は落ち着いた雰囲気のチェック柄の箱を選んだ。
蓋を開けてみると中に入っていたのは、全く汚れていない新品みたいに綺麗な鍵。
「……鍵?」
「当てられちまったか」
世良先生はふっと笑うと、椅子の背もたれにドサッと背中を預けて足を組む。
「それが告白を成功させるために必要なモノだよ」
「この鍵がですか?」
「梅津は知らないのか、この学園の伝説」
──伝説?
あぁ、そういえば夕陽が何か言ってたような…でも詳しくは知らない。
首を横に振ると、先生は鍵を手に取って私の顔の前でプラプラと揺らす。
「これは普段は閉まってる校内チャペルの鍵だ。
その教会内の中央にある十字架の前で告白して、OKをもらえたらそのカップルは幸せになれる
……っていう伝説だ」