雪幻の墓標
「お兄ちゃん!」
朝、エフィたちが泊まっている宿を訪れたウォルトにエフィが嬉しそうに声を上げる。
「おはよ、エフィ」
笑顔で言って部屋の中に視線を移し、リヴェズの姿を見た途端につかつかと歩み寄り、
「人の仕事を勝手に休みにしないでくれますか? リヴェズさん?」
にっこりとそう言った。無論目は笑っていない。
「普通に話してって言ったじゃない、お義兄ちゃん。
代わりの人を雇うお金は棟梁さんに渡しておいたから大丈夫だよ」
「金持ちが普通の労働者の事情考えずにちょっかい出すなぁ!」
「お兄ちゃん……リヴェズが何かしたの?」
不安そうなエフィに聞かれ、ウォルトは慌てて笑顔を取り繕った。
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