雪幻の墓標
「あ、エフィ、もう大丈夫?」
エフィが起き上がると、リヴェズが枕元の椅子に座ってきた。
「お義兄ちゃん、純情だね」
くすくすと笑いながら、小さな箱をエフィの手に乗せる。
なんだろう。綺麗な包みだ。
開けてみると、貝を彫り込んだ細工の小箱が入っていた。
「お義兄ちゃんがね、妹に恥をかかせたって。
昨日と今日、ここで日雇いの荷運びの仕事をして買ってきたらしいよ」
可笑しそうに、嬉しそうにリヴェズが言う。
「これ……貝だね……」
「そうだね。ああこれ、イヤリングとネックレスを入れるのにちょうどいいかも。
これからは寝るときはこれに入れようか」
「お礼言ってくる!」
元気に飛び出したエフィを見送り、
「ああいう青少年はそっとしておいてあげたほうがいいと思うけどなぁ……」
ぽつりと、呟いた。
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