もふもふの魔法【本サイト限定作品*短編】
そのあと、娘の好きなものを買いあさってしまった私は、やっぱり、娘なしでは生きていけないようです。


翌日はとても寒かったので、さっそく、もふもふベストを着ました。本当は一回洗濯してから着たかったのだけど、寒すぎるので。

そんな行動は、私に思わぬ幸運を運んでくれました。

「ママ、あったかーい!」

寝起きの娘が、勢いよく私に飛び付いてきて、ベストのポケットに両手を入れてきます。力任せにやってくるから、最初はびっくりしましたが、それ以上に驚いたのは娘がくっついてきてくれたこと。そして、娘の重量感。

いつの間に、こんなに大きくなったんだろう。

「ママの服、もふもふしてて気持ちいい! 明日も、これ着てくれる?」

娘は、小さい手を私のベストのポケットにつっこんだまま、そんなことを尋ねてきます。

「お洗濯するから毎日はムリだけど、できるだけいつも着るようにするよ」

「ほんと? やったぁ!」

娘は喜び、私に抱きついてきました。


後日、娘が言いました。

「ママ、いつも、私のためにありがとう」

私が返す言葉は決まっていました。

「あなたがそこにいてくれるだけで、私は幸せだよ」

娘のぬくもりがあると、私は落ち着けます。もちろん、旦那がいてこその家族なんですが……。


その後私は、もふもふした生地の服ばかり、買うようになりました。

少しでも長く、娘と触れ合っていたいのです。










【完】
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