お腹が空いたらお家に帰る
「顔はね、こう……童顔かな?目がくりっとしてて仔犬みたいな感じ?」
光也はチワワに似ている、と香苗は密かに思っていたのだ。
……本人が聞いたら本気で嫌がりそうだが。
「会社員ですか?」
「ううん」
香苗は首を横に振った。
「普通の大学生だよ」
そう言った途端え--っ!!と驚きの声が上がる。
「大学生!?」
「そう、大学生。もっとも、院生だからそんなに年は離れてないけど」
「でも、年下じゃないですか!!」
香苗は25歳。光也は2つ年下の23歳である。
「年下は年下だけど、私よりよっぽどしっかりしてるよ、彼」
食事の世話までしてもらっている香苗としては光也に頭が上がらない。
「どこで知り合うんですか?大学生なんて生活圏内にいないじゃないですか!」
「それはね」
ふふふと香苗から笑みがこぼれる。
「……内緒!」
「ずるーい!!」
みな、口々に不平不満を漏らす。
「また、今度ね」
香苗は涼しい顔で、次の話題を提供した。
「それで?みんなだったらどんな人と出逢いたいの?」