虹の見える向こう側
もう行くねと呟いて先輩が去って行った後も、私はそこに座っていた。
外は青く澄んでいて雨の降りそうな気配は全くなかった。
あの日とは違うんだと冷めたいコーヒーを胃の中に流し込む。
どしゃぶりの雨の中、あいつとここで話したあの日とは。
…なんて、先輩と別れた直後なのに他の男のことを考えているなんて本当に私は駄目な彼女だったと思う。
けれどもこの三年間、先輩の彼女だった三年間、私の心を支えてくれたのは先輩でなくあいつだった。