BRACK☆JACK~序章~

【3】

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 一旦身を潜めるためにチェックインした空港近くにあるホテル。

 その一室でユイは、ベランダから飛行機が飛び立つのをじっと見ていた。

 滑走路は夜でもライトに照らされていて、その道に沿って飛行機は確実に飛び立っていく。

 ――…あと2日。

 それさえ乗り切れば、もう命を狙われずにすむ。

 ゼロではないが、その確立は今よりぐっと下がるだろう 。

 だが、居場所がばれてしまった以上、ヤツらはこの2日間でユイを仕留めようと、躍起になって動いてくるに違いない。

 …なんとしても、死ぬわけにはいかない。

 あの滑走路のように、明かりで照らされた道しか進むことはできない。

 そこから一歩でも踏み外せば、そこに広がるのは果てしない暗闇。

 そんなことは嫌と言うほど分かっている。

 それにあと2日無事でいられたとしても、その先に待っているのは、自由のない、がんじがらめの生活…。



「…電気、消してるか?」



 隣の部屋のベランダから、声が聞こえた。



「…もちろんよ、レン」



 苦笑まじりに、ユイは答える。

 部屋の明かりを点けておけば、外から狙撃する格好の的になる。

 こんな時はいつも、部屋の電気を点けることはない。

 同じ裏の世界に身を置く者同士、そんな分かりきっていることをわざわざ聞いてくるあたり、そんなにこっちのことを気に掛けてくれているんだなと思うと、ユイは何だか可笑しくて、吹き出してしまう。



「何だよ、そんなに落ち込んでねェみたいだな」

「心配してくれたの?」



 レンは、その質問には答えない。

 素直に肯定しないレンの表情までが頭に浮かび、それでもユイはこれ以上からかうのは可哀想だと、質問を変えた 。
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