BRACK☆JACK~序章~
「ごめん…巻き込んじゃって」
ベランダは仕切られていて、お互いの顔は見えない。
ユイは、そのことに感謝した。
――…こんな顔、見られたくなかった。
「知らねェよ。おめェが誰であろうと、例え俺達を利用しようと、結果は同じだったと思うぜ? 守るとか守らねェとか、巻き込むとか巻き込まねェとか、そんなことは俺達には関係ねェ。偶然俺たちは一緒にいた、それだけだ」
「レン…」
「もう寝ろ。明日が正念場だ」
それきり、レンの気配はベランダから消えた。
――…明日。
それが過ぎたら、もうエイジやレンとは一緒にいられなくなる。
それは寂しいことだった。
だが逆に、組織のナンバー2になれば、二人の為にできることもあるはず、とユイは強く思った。
本当に大変なのは自分ではなく、あの二人。
先も見えない、何も照らされていない道を歩んでいかなければならないのだから――。